研究紹介¶
私(十河)は愛媛大学に着任するまでは主に眼球運動の研究をしていましたが、現在は主にパーソナルコンピューターを用いて心理学実験を行うためのさまざまなソフトウェアの開発に取り組んでいます。
プログラミング言語Python用心理学実験作成ライブラリについての情報発信および開発への参加¶
現在の心理学の実験では、パーソナルコンピューター(PC)を用いて写真や音声を提示したり、キーボードやマウスを始めとするさまざまなデバイスを用いて人間の反応を記録することが多くなりました。実験の内容によっては一般的なプレゼンテーション用アプリケーションやWebブラウザなどを使えば十分です。しかし、人間が何かの判断をするのに要する時間を正確に(例えばミリ秒程度の精度で)計測したり、PCのモニター上に写真をごく短時間(例えば50ミリ秒間)だけ提示したり、PCに接続した特殊な計測機器を制御したりする必要がある場合には、専用のアプリケーションを使用するか、自分でコンピューターのプログラムを書かなればいけません。
私はPythonというプログラミング言語で書かれた心理学実験用のアプリケーションであるPsychoPyの使用法についての情報を日本語で発信しています。PsychoPyを用いると、自分で全てプログラムを書くよりはずっと簡単にPCを用いた心理学実験を作成できます。特にPsychoPyに含まれるPsychoPy Builderというアプリケーションを使用すると、単純な実験であればほとんどプログラミングの経験がなくても作成することが可能です。PsychoPy Builderの詳細については本サイトの以下のページをご覧ください。
PsychoPyはMicrosoft Windows、MacOS X、Ubuntuなどさまざまなオペレーティングシステム(OS)上で動作しますが、大学の情報メディアセンターなどのWindows機では自由にアプリケーションをインストールすることが出来ないので、PsychoPyを利用するにはちょっとした工夫が必要です。その「ちょっとした工夫」を施したPortable PsychoPyを本サイトの以下のページにて公開しています。
この他にも、PsychoPyの日本語環境への対応などでPsychoPyの開発にも微力ながら参加しています。
なお、本サイトの「Pythonで心理実験」では、Pythonを用いた心理学実験に関する話題を思いつくままに紹介しています。2007年より書き始めておりますのでかなり古い内容も含まれていますが、よろしければご笑覧ください。最近はなかなか時間を確保できず更新が停滞しています。
眼球運動計測のためのソフトウェア開発¶
眼球運動を計測するためのオープンソースソフトウェアの開発に取り組んでいます。私が学生だった頃というと市販の眼球運動測定装置は非常に効果でしたが、最近は数万円程度で購入できる手頃なものも出現し、眼球運動計測測定装置の導入コストはぐっと下がりました。しかし、安価な測定装置はサンプリング周波数やアプリケーションプログラミングインターフェース(API)などの面で眼球運動研究の用途に適さない場合もあります。これらの装置よりは導入コストがかかるかも知れないけれども、高価な研究用測定装置よりは低いコストで計測できるものを作成しようという目標で開発しています。詳しくは以下のプロジェクトページをご覧ください。
他にもContecのUSB接続のIOユニットをPythonから利用する pyAPIUSBP や、Measurement ComputingのUSB接続IOユニットをMatlab/Octaveから利用するためのMEXファイルの作成なども行っています。